楽園 下

楽園 下宮部 みゆき前畑がんばれ。
皆さんのレビューを拝見すると、おおむね、

1,読んで後悔はない水準以上の作品。

2,だが、宮部作品としては(期待度が高いだけに)不満。

3,『模倣犯』の主人公・前畑滋子を再登場させた必然性が疑問。

……というところでしょうか。

自分も、同感です。

特に気になった点は、今回、前畑の舅・姑が死没していること。

これは、(設定上で)邪魔物は消せとしか思えない。二人とも、

相次いで病没したというのは、『模倣犯』から9年後の設定ながら、不自然。

どちらかが認知症気味でも存命で(また、そうした新たな問題を抱えつつ)、

前畑が苦労しながら問題を解決していってこそ、日本の現状を踏まえて納得がいく。

『模倣犯』では前畑の舅・姑が健在で、この二人との微妙な人間関係が、

凄惨な事件の「取材」がもたらすストレスと呼応して、

前畑の人物像を二重にも三重にも深くしていました。

それに比べて、今回の設定は、前畑の舅・姑の死没一点をとっても、

宮部作品にしては、ややご都合主義的過ぎるように思います。

むしろ美少女殺人・死体埋葬と、特殊な能力のあった少年の事故死、

という主軸だけに絞って、前畑の出て来ない

全く違う話にしたほうが良かったような気がします。

魅力的な登場人物、抜群の人間描写、そして展開の必然性とという、

宮部作品がもっていた輝きが、『模倣犯』の設定を取り込むことで、

かえって弱まってしまったのが本作。残念です。

覆水盆に返らずとあれば、いっそのこと、

前畑滋子のシリーズを立ち上げ、次回作に期待する、

というのは如何でしょうか。

おもしろかったけど‥
おもしろかったんですが、もっと文章で読ませてくれって感じです。無駄な会話が多すぎる気がします。
最後に土井崎さんに宛てた手紙も無駄に長すぎ。野本刑事や敏子さん達のたいして関係ない会話を延々と読まされる土井崎さんも迷惑なんじゃないかなぁ。

それなりに良い。
 今読了して思うのは、それなりに良かったということ。上下2巻、3400円分の価値はあると思う。

 確かに、直木賞や文部科学大臣賞を取ったかつての作品ほどの重さ、激しさはなかったかもしれない。しかし人間に対する温かさ、いとおしみが全体から感じられた。殺人事件を扱っているにもかかわらず、読了後幸せな気持ちになることができた。著者の人間理解の深さにも相変わらず舌を巻いた。

 『模倣犯』を読んだときは、残酷なシーンの描写が微に入り細に入っており、3度ほど飛ばし読みをした。主人公のような犯罪者に対する著者の怒りが、そのような書き方をさせたのだろう。しかしこの著書には、40代半ばを超えた著者の、ある意味成熟した面が出ているように思う。

 なお書中『模倣犯』のラストシーンが出てくるので、『模倣犯』を今後読むおつもりの方は、そちらを先に読まれたほうがいいと思う。
楽園 下

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