誰か (文春文庫 み 17-6)

誰か (文春文庫 み 17-6)宮部 みゆき地味な感じがするが、それはそれで面白い
宮部みゆき氏による現代ミステリー。

今多コンツェルンの会長の個人運転手である梶田が自転車ひき逃げ事故で死亡する。

その会長の娘の夫である杉村三郎が事件を追う。

杉村は会長令嬢の夫という特殊な(ある意味有利な)立場に置かれているが、

本事件ではそれを全くといっていいほど利用せずに行動する。

その素朴かつ誠実なキャラクターに、誰もが好感を抱くだろう。

また、特に後半で、杉村に対し「あなたのように恵まれた人にはわからない」といった類いの言葉が怒濤のように浴びせられる。

それにほとんど動じることのない杉村。

かつて母より受けた言葉はその比にならないと言うが、またその母の言葉の中にあった正しいと思われる言葉が、時折彼を支えてもいるのかもしれないという皮肉も感じる。

自転車によるひき逃げという特殊な設定だが、その特殊さに特に意味は無いかも知れない。

全体的に淡々として緩急は無いが、それはそれで楽しめる作品。

秘密を厳守する男
噂話を聞いて、すぐに広めてしまう人。反対に、人があまり口外して欲しくなさそうなことは極力話題にしない、口の固い人。

後者は、単に口が固い真面目な人なのだろうか?「自分自身に、誰にもいえない秘密を持っている」からこそ、他人の秘密も守っているのかもしれない。そうでなくとも、様々な経験から、他人の気持ちを思いやり、そうさせているのかもしれない。

この小説の登場人物のうちのひとりは、そんな男であった。

余談だが、そうやって考えると、噂好きの人は純粋で無邪気な可愛らしい人だと思えてくるから不思議だ。

盛り上がりに欠ける
淡々と進むので盛り上がりに欠ける。

なんの変哲もなさそうな人にスポットを当て、徐々に秘密が明らかになると言った手法は面白いんですけどね。
誰か (文春文庫 み 17-6)

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